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日々徒然、さにわ語り。

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近侍日誌:十月十七日

※このドキュメントは都合よく現代語訳されています。


十月十七日  主と薬研と

主と薬研兄さんは、基本的には互いに隠し事はしない、と定めているらしく。
気にかかることがあれば遠慮せず意見をぶつけ合うのだそうです。
それは執務中でも、日常のほんの一時でも変わらずに。
主と薬研兄さん以外の誰かが側にいようとも、お構いなしに。

「包丁藤四郎。徳川の刀で、焼失刀? ……だから薬研の後ろになんのか」
「鎬かとも思ったが、違ったなぁ」
「あー。なんか今回は意見割れてたねぇ。あれだけはっきり紋が見えてたのに」

やっぱ藤四郎が多すぎるせいだな、と主は手元の端末を操作しながら独りごち、
薬研兄さんはその隣で、主が開いたいくつもの「窓」から情報を拾っています。

「で、人妻好き?」
「前の主の影響でな。あの時代じゃ普通だったんだぞ、兄弟の名誉のためにも言っておく」
「その兄弟とやらは一期さんかね」
「……他所の本丸では結構な騒ぎになったとか」
「あーわかるわかる。授業参観にきたお父さんが、自信満々に盛大にズレた答えをする我が子を見て頭抱えるようなそんな感じ。わかりますよー」
「その例えは俺がわからん」
「せめて女好きならよかったんだろうか」
「それはそれでいち……兄弟が頭抱えるんでやめてやれ」

お茶とお茶菓子を差し入れたら、一緒に食べていけと誘われて。そのままこの話を聞かされているのだけれど。本当にこの二人……一人と一振りの会話は、主語も抜けるし主題もころころ変わるし。ぶつけ合う、という言葉そのまま。遠慮なし、手加減なしに投げても、必ず相手が受け止めて返してくると信じているんでしょう。

「明日から大阪城かなー」
「準備は抜かりなく。大将は後半の編成どうするかだけ考えといてくれや」
「まだ確定じゃないってのに、気が早い」
「まぁ、前回の大阪城が100階だったからな、別物がくる可能性もなくはないが」
「けど大阪城がかたいか。ほんと、後藤の時も思ったけど徳川刀が大阪城に居ていいんかね」
「よくわからないなにか、だからいいんじゃねぇか」

僕にはとても真似できないので、時折、羨ましく。
そのような位置に兄弟がいることが誇らしく。

「平野」
「、はい!」

呼ばれて、顔を上げれば主は空いた小皿を手に首をかしげていました。

「これすっごい美味しいな、ありがとう。きんつば?」
「はい。花丸さんのところを見ていたら食べてみたくなったと、秋田が言うので」
「ああ、そういや乱と一緒に買い物に行くって言ってたか。蜂須賀もだな」
「そっか。蜂須賀の見立てなら美味しくて当たり前だわなー」

つい先ほどまで大阪城の話をしていたはずなのに、気付けば「窓」に映る情報がすべてきんつばの情報に置き換わっています。有名店はどこだとか、作り方だとか。
本当に、あっという間に変わってしまうんですから。

「後で、どこのお店に行ったのか聞いておきますね」
「おー。ありがとー」

僕にできることは、また主の興味の向く先が変わってしまう前に、答えを手に入れておくことくらい。
お皿を片付け、お邪魔しましたと執務室を出て。

さて。

きんつばを買いに行った刀のうち、誰が一番見つけやすいでしょうね?
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