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日々徒然、さにわ語り。

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近侍日誌:五月二十二日

※このドキュメントは都合よく現代語訳されています。


五月二十二日  近侍 薬研藤四郎



新しい戦場が開いてからおおよそ一週間。
五虎退が極付きになってから一週間。
いろいろと変化があって慌ただしかったが、さすがに落ち着いてきたかな。

・日課任務
 演練相手に極付きの厚や平野、乱を見かけるようになった。今はまだ一振りだけ、いわば隊の中に一振りだけ別格な奴がいるというだけで、そこさえ抜けばあとはこれまでの演練と大差ないんだが。今後極付きが増えてくるとどうなるかな。太刀や大太刀に極が付いた時、俺の力がどこまで通用するのか、
 ……先のことで悩んでも仕方ねぇか。

・延享、新橋の戦場について
 池田屋で一杯食わされて以来の新しい戦場だ。――その割に、今はまだ調査の段階で大規模な戦闘には至っていない。時代背景としては、細川の殿さんが人違いで暗殺された?事件があったとか。歴史に疎い大将と一緒に歌仙や鶴丸にいろいろ聞かされたが、さて、この事件を「修正」するとしたらどこを狙ってくるのか。
 ところで、大規模な戦闘は起きていないと書いたが、見回り隊らしき連中の中に新顔が増えた。時の政府からはそれぞれ「苦無」と「中脇差」という分類がされたようだ。こいつらがまた厄介で、とにかく火力が高い。金刀装を積んでいても普通に剥がされる。この手の敵はやられる前にやるのが常套だが、投石兵だと本陣に届く前に粗方壊されちまう。そんなわけで色々と試行錯誤した結果、極付きの五虎退に太刀五振りで落ち着いた。今まで使いどころのなかった重騎兵が日の目を浴びたってんで、なぜか鶴丸がはしゃいでいた。
 今のところ重騎兵を作るのが一番上手いのは数珠丸。あの刀は十連のうち九つ特上なんてこともするからな、さすがは天下五剣といったところか。

・極について
 開かずの賜物の中身は旅道具の一式だった。といっても普通の旅道具ではなく、時代を飛び越え一時的に本丸を離れても支障がないよう、あれこれと仕掛けがしてあるそうだ。そして、これを用いて修行の旅に出ることで、俺達刀剣男士は真の力を引き出せるようになる――極付きになる、と。
 極の話自体は前から聞かされてはいたが、実際に目の当たりにすると、なんとも。
 いや。もちろん、兄弟が強くなるのは嬉しい。嬉しいんだが、なぁ。
 ……修行から帰ってきた五虎退を見てから、こう、胸の奥で燻ってるもんがある。それは否定しない。早く強くなりたくて焦ってんのかもしれねぇ。けど。

 五虎退が帰ってきた日の夜、全員を集めた席で大将は、「次の旅道具一揃えは使わずに取っておきたい」と言ったんだ。そしてそれを皆――俺と加州以外全員が、当然だと受け止めていた。宗三なんかは「二揃えじゃなくていいんですか」とも言っていた。「初期刀は初期刀で纏めてきそうだから」「加州と薬研同時は無いと思うし」他にもいろいろ言っていたのに、あまり覚えていない。変な顔してると鯰尾に突かれてようやく、ああ加州が今にも泣きだしそうだと、そんなことを考える余裕ができた。

 俺は、一日でも早く。この期待に応えてやりたい。
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